卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

改正市場法と施設整備

農水省は3月12日の全国説明会を皮切りに4月24日まで全国10か所で改正市場法についての説明会を開いています。

昨年12月から繰り返し説明会を開いていて、その内容は参加者にとって必ずしも満足のいく答えではなかったのですが、やること自体は悪いことではありません。

まだ国会で承認されたわけでもありませんが、秋口と言われている省令が発表されないと中央市場と地方市場の認定基準や業務規程、申請書の準備に入れません。

私も最近、いくつかの団体から改正市場法によってどう卸売市場は変わるか、業界はどうすべきかについての参考意見を聞きたいという依頼がありましたが、そこで感じたことは、①全国で老朽化が進み再整備の必要性に直面している市場施設整備の考え方と、②卸と仲卸の関係がどう変化するか、についての関心が強かったことです。

施設整備の問題についていえば、改正市場法は整備基本方針・整備計画が廃止され、その受け皿となる改正食流法(適正化法)が国会承認後6か月以内に施行されることになっていますので、遅くとも今年中には施行されることになるでしょう。

従来は「強い農業づくり」で中央市場は温度管理機能がある卸売場は10分の4以内、駐車場など他の施設は10分の3以内と細かく規定されているのですが、改正市場法では、物流、衛生管理、情報、輸出入の4つの課題を中心にした合理化計画を立てて農水大臣の認可を受けた場合にのみ10分の4以内の支援が受けられることになっています。

この対象は中央市場に限りませんので数字上は支援が拡大しているようですが、もちろん「予算の範囲内」ですから増えることは考えにくいと思います。

すでに豊洲だけでなく、京都、鹿児島魚類市場など取り組んでいる市場や、和歌山、広島、姫路等、再整備計画の方針が決定し取り組まれている市場もあります。

これらの大型拠点中央市場だけでなくさらに多くの市場で再整備に直面しているのですが、そうした市場では改めて改正市場法の方向に沿った施設再整備計画の策定が求められています。

一般会計繰入基準の考え方も変わる可能性があるようですが、要は、公的施設を使って儲かることが出来るよう取引は自由化するが市場会計における行政支出は極力少なくするという方向です。

重要なことはその際、支援の対象になるだけでなく、再整備後の市場管理運営が健全にできる資金が求められることです。

一面的な言い方ですが、取引における規制は全て自由にする、規制を続けるのもいいし、廃止するのもいい、ただし、市場の管理運営資金は責任を持てということです。